クリエイティブカンパニーWunderman Thompson Tokyoさん(現 VML Ogilvy に社名変更)とコラボ開発した「文菓子」。

「みんなが知っている文学を和菓子にできたら、普段和菓子に馴染みのない人にも興味を持ってもらえるのではないか」という思いから発案され、弊社にお声がけいただきました。
知名度があり、起承転結がある作品がということで、太宰治の代表作『走れメロス』を題材にしました。
そして、4つのシーンに合わせた菓子を職人全員でアイディアを募り、まとめていきました。




試作を重ね、完成したお菓子がこちらです。

右)「メロスは激怒した。」【菓銘:激怒】
メロスの怒りの気持ちを唐辛子や柚子胡椒など、スパイスを効かせた「吹き寄せ」に込めました。
左)「結婚式は、あすだと。」【菓銘:祝宴】
人々が陽気に歌う牧歌的な結婚式の風景を錦玉羹にうつしました。歓喜に酔う花嫁の気持ちはライチリキュールで香り付けすることで表現しました。

右)「水の流れる音が聞えた。」【菓銘:水音(みずおと)】
疲れ果て自暴自棄になったメロスが再び希望をもち、走り出す糧となった「水」を琥珀糖であらわしました。ライム果汁を加え、水の清涼感を演出しております。
左)「まだ陽は沈まぬ。」【菓銘:夕陽と共に来たる】
日没直前、メロスは到着し、二人の友情に改心した王。美しい夕景を描いた「マイタイ※」羊羹は、ラム酒入り黒蜜をかけると夜へと移ろいます。
※ ラム酒と南国の果実を合わせたカクテル。タヒチ語で「最高!」の意味をもつ。

パッケージは、ハードカバーの本をイメージした箱をあつらえました。

付属の小説を読み進めると登場する、色付きの一文にあわせて、ひとつずつ和菓子を楽しんでいただく仕掛けです。

実際に発売してみると、普段とは異なる文学好きの方からの反響も多く、「違う小説でもやってほしい!」など、うれしいお声をいただきました。
今回、海外でも活躍されている Wunderman Thompsonさんの着眼点やアイディアは、とても勉強になることばかりで、良い経験をさせていただきました。
またいつか、第2弾ができたら良いなと思います。
最後までご笑覧いただき、ありがとうございました。
追記
「The Cannes Lions Award」(広告業界で世界で最も権威のあるアワード)銅賞受賞!
「Crocodile Award」金賞受賞! 〈2024年〉
(デザイン・企画 / 柴田 )
制作期間:約4ヶ月
打ち合わせ回数:対面1回、リモート4回程度
その他、メール、電話でのやりとり